あやおばさんが亡くなった。もう去年の秋に亡くなっていた。今になって報道されたのだった。100歳越えていたから仕方ないけれど、新聞の記事とラジオのニュースを聞いた時は、けっこう悲しかった。
自分の人生が過ぎて行く感じがした。当たり前のことだけど。
絵本の代表作「ねこのごんごん」を描いていた頃の風景を昨日のことのように思い出す。最近、昨日のことのように思い出すことが多いような気がする。過去と未来は実在しない、ということもついでに思い出す。
割烹着を着て、下駄を履いて、眼鏡の奥からにやりと笑って、あやおばさんは、時々絵を描き、野菜を作っていた。泥をひねって羅漢様も作った。
一昨年、松濤美術館での個展で見たドクダミの絵は、やはり凄かった。お兄さんの位里先生の牛も凄いのだろうけれど、私には、実は、あやおばさんのドクダミの方が凄かった。人生はどこかぼけてしまうところがあるのだが、あやおばさんのはそのドクダミの花と葉ようにくっきりしてした。
あやおばさんが絵を始めたのが60歳。私ももうすぐその歳になる。
シャクティセンターからメールが来て、今月の26日にフェルシーが正式に尼僧になる。
祈っていて下さい、というリクエスト。
道は続いてゆく。
来月、会える。