長田先生のプライムニュースでの発言、孤軍奮闘、凄かった。

 素晴らしかった。番組に横浜市の待機児童解消を評価し、他でも広がればいいという意図があり仕方がないのですが、利他の人、長田先生の孤軍奮闘ぶりが保育や子育てを取り巻く現状を表し象徴的でした。わかる人にはわかる。様々な問題の中心点に視点の相違がある、と鮮明になったはず。保育界にもメッセージになったはず。

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 3才までの子どもの安心安定を願う人と、次の選挙向けに自分の功績を話し続ける人の意図の違い人生哲学の違いが「子育て」をテーマにハッキリ出ていました。反感もあるかもしれませんが、現場の思いは伝わったと思うのです。

 番組が終わってすぐ、都内のある区の前福祉部長から「素晴らしかった。市長との度量の違いが見事だった」と電話をいただきました。子どもを思う現場が長年疑問に思って来たこと、子ども優先になっていないということを保育の歴史を語りながら、的確に言ってくれました。しかも出演していた4人のうち、毎日子どもに関わっているのは長田先生だけです。それに気づく人は絶対にいるはずです。

 番組の司会者が後で長田先生に「先生は保育園をしているんですよね」と言ったらしい。経済で物を考える人たちには理解出来ないかもしれません。自分の仕事の存在を批判している部分があるからです。でも、保育園がこれから子ども優先に動かないともうこの国に未来はない、それほど重要な存在だから流れを変えたいのです。保育園は重要なんだ、この国の魂のインフラを支えているんだ、それを全国の園長主任たちに解ってもらいたいから長田先生は言い続けて来たし、一部の園長を除けば保育界で白い目で見られて来た。それでも先生は風車に立ち向かうように闘って来た。その背後には必ず何百人もの園児たちの願いがあっ

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た。そろそろ、保育界が気づき始めている。

 ありがたい番組でした。

 この国はいい運を持っているはずなんです。

 

 早期の母子分離の危うさは何千年にもわたって常識で、ユニセフの白書、20年前の厚労省の調査でも言われてきました。保育園を三つ経営している人が、安心感がないとご飯さえ食べない、とまで言えば、親はハッとするはず。最後に、人生5年くらいは子どもと過ごそうという視聴者からのメールが読まれ、番組の意図が自然に変わりました。

長田安司先生/プライムニュースに出演されます。本、三刷です。

お知らせいたします。

共励保育園の長田先生が今夜(五月十五日)八時BSフジプライムニュースに出演されます。子どもたちの願いが先生を通して表れ、先生の真意が伝わりますように。日本の保育者たちの長年にわたる思いが理解されますように。先生の「便利な保育園が奪う本当はもっと大切なもの」三刷だそうです。大丈夫かもしれない。

ハーバード大の教授/三つ子の魂百まで

 長田先生のまんさくブログhttp://osadayasuji.com/?p=385 は凄い。ぜひ多くの人に読んでいただきたい。園長や私がくり返し政治家や行政、親たちに訴えてきたことが、ハーバード大の教授によって「ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ」と卒業生に語られる。これなら日本の政治家も学者も少しは耳を傾けるかもしれない。

『「ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ」(How will you measure
your life.?
)と副題し、豊かな人生を送るために、ハーバード・ビジネススクールを卒業する若者へ贈る言葉としてまとめられたものです。』

その中に、『子どもたちが学校にあがってからの追跡調査でも、子どもたちが生後30ヶ月間に聞いた言葉の数と、成長してからの語彙と読解力の試験の成績とは、とても強い相関(0.78)があったとのこと』

 ここでハーバード大の教授が卒業生に、幸せを願って語りかける言葉を「子育ては専門家に任せておけばいいのよ」と言った元厚労大臣、それを支持した前総理大臣、「乳児は寝たきり」と言った元経済財政諮問会議の座長にぜひ読んでもらいたい。経済の仕組みは人間の生の営みの一部、そこに、幸福感や、育てあい育ちあいがないと経済の存在意義さえわからなくなる。アメリカという、市場原理や資本主義経済を代表する国の代表的大学の教授が、これから経済界でリーダーシップをとって働く可能性が大きいひとたちにこれを言う。それがメッセージとして日本に伝わった時、そこに人類の育てあいのようなものを感じる。

 ハーバード大の教授がHBSの卒業生に言うのを待つまでもなく、5才までの子どもの成長に時間をかけて関わることは、人生や人類の進化、人間性と呼ばれるものに影響する人類必修の体験でした。幼児という毎年これほど違う能力と資質を持った人たちと接して得るコミュニケーション能力は人智を越えています。祈りと想像力、思いやり、過去現在未来のつながりを実感する、そうしたこと全てがコミュニケーションの一部であり全体としての人類をかたちづくる。幼稚園や保育園が出来る前、数万年にわたって人類は5才までの子どもから生きる目的と意欲、そして幸福とは何か、どのように手に入れるかを学んできた。この教えを「成功したいなら守れ」というハーバード・ビジネス・スクールの教授の言葉は経済学の真理に近づいています。経済学は根源で幸福論と重なるべきなのです。

 5才までの子どもと過ごす時間は、闘いの気から人間を母性の気に戻す時間かもしれません。この時間が子どもにも親にも、社会にも大切なのだろうと思います。戦闘モードで人間は真の創造者になりえない。

 5才までの自分の子どもと過ごす、この「自分の」というところが社会の絆を育てる。子どもによって人間は利他で繋がる。ハーバード大の教授が卒業生に言う「子どもが幼い頃しっかり働いて、成長してから子育てに関わればいいと思っているかもしれないが、その時にはゲームは終わっている」という言葉と、子どもが学校に入ったから仕事を辞める、と言う母親たちの言葉の差異は、常識が崩れることによって起きているのでしょう。生態学的に人類をその都度守ってきた常識は、時にわらべうたや子守唄で伝承されます。阿部ヤエさんの本を読むとわかりますが、言葉掛けや知恵の伝承が音楽を伴ってされてきた。ここが人間の凄いところだと思います。

 子守唄を歌う経験が少なくなっています。現在2割が一度も結婚しない男たちは特にそう。義務教育の中で乳児相手にこのあたりの体験をさせると現代社会の欠陥を補完するにはいいはず。

 徒然草的に言えば、米国では今ではハーバード大まで言かないと教えてもらえないような大切なことを日本人は常識として知っていた。だから世界第三位の経済大国なのだと思う。それをハーバードまで行かなかった日本の学者たちが「欧米では」と言って崩そうとする傾向がある。真理は簡単で身近な幼児の中に見えるのに。モラル・秩序のない市場原理は喧嘩で適者存続のように見えますが、次世代を思い、子どもを育てようとすれば、必ず自分の身に負の連鎖は降り掛かってきます。喧嘩に勝ったとして果たして幸せになれるのか、ということだと思います。市場原理、規制緩和が日本でも言われていますが、DVや児童虐待の増え方を児相や児童養護施設で見ていると、あまりにもタイミングが悪過ぎる。

 何か根本的なところをまず建て直してからでないと、危ない気がします。

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