“昭和の男”が「孫休暇」取得なぜ?

さすが、日本!

チャンネルの第55回では、こんな記事を取り上げました。

(AERA 2024年11月25日号より)

「仕事一筋、“昭和の男”が「孫休暇」取得なぜ? 子どもの世話、妻に任せきりだった後悔」

~企業や自治体で仕事と家庭の両立支援が進むなか、孫のために休暇を取れる制度が広がっている。具体的にどのようなものなのか。「孫休暇」を設ける九州電力を取材した。~

 

(ここから私)

子どもの人生に、まだ、祖父母が存在している国なのです。

こういう努力が広がる気配が、いま、ある。

日本の底力です。

経済競争に気を取られ、「情報」で考え、自分のいい人間性に気付かず過ごしてきた男たちの、後悔と反省は、孫たちによって、突然、花開き、輝く。

「子どもを可愛がることに、幸せを感じる」遺伝子が、慌てて、オンになる。

頼り切り、信じ切り、幸せそう。

その境地が、孫と、ピッタリ重なっていく。

この人たちが、弱者に寄り添い、調和のシンボルになり、小波のように、社会に「鎮まる力」を広げていく。その風景が、この国に満ちてほしい。

60を越えてからでも、いい人間になろうとすれば、いいのです。

そこで気づけば、遺伝子がオンになってくれたら、「遅い」とか「早い」とか、そういうことじゃない。

一生のうちに、どこかで「開眼」する。置き去りにしてきた「時間」が、確実に戻ってくる。

自分が、自分になれるチャンスが巡ってきた。そう思えばいい。

後悔し、反省する「男たち」は、幼児たちとは、相性がいい。いつまで経っても、中身は子どもなのだから、お互いに、求め合う。

孫の顔を見ると、どれほど自分が、馬鹿げた失敗をしたかが、わかる。(人もいる。😀)特に、男の子は、気の合うお爺ちゃんがいると、良く育つ。

人間は、いつか、いい人になればいい。

追伸:

雇用主が、社員の家庭の安心を手助けし、「逝きし世の面影」にあった、今では失われた「村社会」の絆を、復活する方向に動いてくれたら、まだこの国には、改善できる余地が、大いにある。

保育園や幼稚園で「祖父母の保育士体験」をやり、会社が、職場での人間関係を「優しさが育つ環境」へと、改革してほしい。それができる国であることに、まず感謝しなければ、と思います。

 

嬉しい報告、西伊豆から、北九州から

松居和チャンネル、第55回は、西伊豆からの報告、そして、九州電力の「孫休暇」、とても嬉しい報告です。

国の、あり方が揺らいでいます。どこへ行っても小学生の不登校児が一割、引きこもりや、児童虐待も増えています。経済が良くなるわけがない。

その原点に、保育士たちが「子どもが可哀想」と違和感を感じる、「国による母子分離」政策がある。

園児たちの将来を心配する保育士たちには、「自分たちは、五歳までしか見れないのに」という思いが常にある。どんなに「いい保育」をしても、小学校で、変な担任に当たったり、意地悪な同級生に出会ったり……。その確率が高まっている。

子どもたちが育っていく「環境」は、他の子どもたち、そして親たちがどういう人か、ということ。国が、これほど母子分離を奨励してしまうと、義務教育がある限り、一生懸命可愛がった子どもたちの将来は、担任と同級生の当たり外れ、という、不安に満ちたものになってしまう。

だからこそ、入学前に、親子の絆をつくってほしい。子育てを喜びと感じるようになってもらわなければ……。そう思う保育士たちが、いる。

11時間を「標準」と決めた、国の、馬鹿げた保育施策が、更なる少子化を生んでいる。男たちの生涯未婚率も、三割になろうとしている。国の愚策が、社会から、生きる力を奪っている。

打開するとしたら、就学前、保育の段階から、親と保育者と子どもたち、三者の間の信頼関係を築いていくしかないのです。それを学校教育へ繋げていく。それなのに、国は、まだ、誰でも通園制度などと、母子分離にこだわっている。保育士がいないのに。

それが、親たちの「権利」だという保育学者さえいる。こんなものは、権利でもなんでもない。子どもたちの「権利」を後回しにした、大人たちの「利権(りけん)争い。

そんな中、不登校にした方がいい場合が、増えている。

 

チャンネル冒頭の園長先生からのメール。

「松居先生!!

11月から、保護者の1日保育体験始まりました。

なんと保護者全員が保育体験を順番にやります。」

 

まだ、可能なのです。この国には、親たちに「保育者体験」を薦めよう、子どもたちのために、自分たちが「役割」を受け入れよう、と奮い立つ保育者たちがいる。だから私は、保育者たちに、お願いして歩くのです。親を育てて下さい。それには、楽しそうな子どもたちの「集団」に出会わせるのが一番いい。子どもが、生まれた時に、実の父親が、ほとんどの家庭にいる先進国は、皆無と言っていい。

決意した保育者たちに、父親を育ててもらえる機会が、この国には、まだ存在している。

「女性の社会進出」で、一番怖いのは、男たちの「父性」が弱まって、無責任になること。シングルマザーは、やはり辛い。チャンネル第49回、「実は、父親もウサギになりたがっている」を参照してください。

本当の父性は、父親であること、自分自身であることに「幸せ」を見つけること。自然の流れであって、難しくはない。

親子の将来を心配する、本気の保育士たち、保育に生き甲斐を感じる女性たちがいるうちに、手を打たなければ、と思います。「ママがいい!」という言葉に応えようとする母親たちの心が、真の「女性活躍」だと言われるように、なってほしい。

幼児たちとの「出会い」を増やしていきましょう。

 

フレデリックのように、その機会をじっと待っている

松居和チャンネル第54回

(テーマ)谷川俊太郎さん、逝く。詩人や音楽家の役割

副題:助産師さんが、人生の道筋をつけていた。

 

この回の最後に、私にとっての三賢人の写真を載せました。

谷川さん、堀内誠一さん、安野光雅先生。(堀内紅子さん提供)

懐かしい、姿です。

谷川さんは、4冊目の本に推薦を書いてくれました。堀内さんは、二十歳の時、パリで、三か月居候させてくれました。安野先生は、私の小学校の工作の先生です。

保育や子育ての問題を、心の中で、密かに相談します。この人たちが、国の進路を考えていれば……、とつくづく思います。でも、この人たちは、学問には近寄らないし、競争には加わらない。

フレデリックのように。その機会をじっと待っている。

絵本という種を蒔き、期待をしながら、待っている。

私は、幼稚園、保育園にお願いします。この人たちが蒔いた種が花開くように、お水をお願いします。

心を一つに、可愛がる、寄り添う、家庭での「読み聞かせ」を、よろしくお願いいたします。

親身な助産師さんに救われ、人生を導かれる一家がある

日本助産師会関東地区の研修会で、静岡で講演しました。常日頃から、命の誕生に関わっている人たち。元気で、根性があって、生き生きしている。

子育ての「始まり」のところにいる保育士や、助産師さんたちが、012歳を長時間母親から引き離すのは「可哀想」という意識、「母性」を取り戻す「意識改革」を主導してほしい。

そう思って、私も一生懸命話しました。

彼女たちの母性が、教育長や市長を説得した時、社会は、再び「子育て」でまとまるようになる。

人類が続いていくために、一番大切な「共通性」は、「誕生を祝う」、そして「可愛がる」です。

親子に、子どもが生まれる前から話しかけ、「流れ」をつくる人たちの存在は、尊くて、格別です。

親身な助産師さんに救われ、人生を導かれる一家がある。

「新しい、命を、待つ」、ことから教える。共に祝い、慈しむ「手順」を伝え、社会を整える。

この人たちがつけた道筋に、幼稚園や保育園に繋がって、親心の「ビオトープ」が回り始めてくれたら。

そんな思いで、講演しました。

「父親像、母親像」を語る前に、「012歳像」がなければいけない。そこが一番揺るがない。それが日本文化の中心なのだから、風景の中に、たくさん残っている。

「喋れない」から始まり、心が通じるようになり、「想像力」によって、自分を「理解しようとする力」が深まり、「生きる力」が、満ちてくる。

その、プロセスが、大事です。