提言論文、『子供を優先する、子育て支援―先進国社会における家庭崩壊にどう向き合うか―』への感想をいただきました。一つの市の役場で情報と共有していただければ、できることはまだ沢山あります。まず、現場で起こっていることを認識してもらいたいのです。今回の提言では、すでに新聞などで報道されていることを資料として挙げ、この状況は子供達のことを考えれば、すでに見過ごせない、これが放置されたまま政府による「雇用労働施策」が進められると学校教育が維持できなくなる、と書きました。
(提言論文より)
「人間性が失われていく仕組み」を保育をサービス産業化 (市場原理化)することによって推し進め「人 づくり革命」と呼ぶ政府の「新しい経済政策パッケージ」と経済優先主義は、幼児の人格、人権を考慮していない。「生産性革命と人づくり革命」は、「人づくり」を「生産性」と重ねたところですでに矛盾と無理を抱える。政府の「人づくり革命」(雇用労働施策)の陰で、子供たちが怯えている。
政府が掲げる「持続可能な社会保障」を支える土台に将来のモラル・秩序、治安維持や労働力確保を脅かしかねない「幼児たちが見る異常な風景」と、「するべきではない体験」が組み込まれている。幼児の心に残るこの風景に対する嫌悪感は、社会全体の見えない負債となる。
すべての人生は連鎖している。連鎖を浄化し善循環にしてきた「幼児期の体験」が経済優先の仕組みによって人間不信、不安の連鎖に変わろうとしている。これを続ければ、社会保障を支える保育と教育が人材と財源の両面から崩れていく。社会保障は数字上で成り立つものではない。損得勘定では、持続可能な「社会の仕組み」は作れない。必ず「利他」 の幸福論が中心になければならない。
保育の現場を子供たちが安心して過ごせる環境に近づけるには、親と保育者が一緒に子育てをしている実感を取り戻すしかない。親の保育体験の出発点はそこにある。そして「いつでも親に見せられる保育」をする、それが仕組みの最低条件なのだ。
保育所保育指針に保育「参加」という言葉 が入り厚労省の解説DVDに「保育者体験」を入れてもらった。法律的にはすでにカバーされた。しかし希望者だけでは社会全体の意識改革には程遠い。(幼稚園や学童保育も含め) 保育施設に子供が参加すれば親は全員これを体験する、そこまで進めれば学校教育が持続可能になる、DVや児童虐待が止まったりする。
体験後の感想文に親たちが「園に対する感謝の気持ち」を書く。この感謝が保育者を育て学校を支えてきた。これが希薄になると、 園児の幸せを願ういい保育士、感性豊かないい教師が自信を失い辞めていく。
なるべく父親から、と薦める。毎年やると、他の子供たちも一緒に成長していることに気 づく。自分は他の子供にも責任があるのでは、とふと思う。先進国社会が失いかけているコミュニティーの原点がそこにある。人間は、全ての子供に責任がある。
子供たちが「お友達のお父さんが助けてくれるかもしれない」と思い、「お父さん同士が友達かもしれない」と意識すれば、学校でのいじめは減る。いじめの増加は、親同士が絆を作らない、親と教師が信頼関係を作ろうとしないことに対する子供たちの警告。子供を叱ったり、担任を責めるだけでは絶対に解決しない。
と書きました。
(感想をいただきました。)
松居先生
玉稿を拝読しました。
共感と驚きばかりでした。
松居先生がここまで仰られて、もし政治が社会が何も変わらなければ、なんだか私も悲しいです。
そもそも先生の論文を読み解くリテラシーが、流行りの政治家たちにあるのかな?とも感じました。
17日に市長と会います。
松居先生のお話もしたいと思います。
そういえば、一昨日、ある会食で、元・県教育長と一緒でした。
松居先生の話題になったら、とても喜んでいました
先生のお働きの一助になるように、私も微力ながら頑張って参りたいと思います。
どうぞ宜しくお願いいたします。
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松居先生
いつもお世話になっております。
こども未来部の⚪️⚪️です。
論文をお送りいただきありがとうございました。
早速、貪るように拝読致しました。また、部内管理職や一般職員等に回覧させて戴いております。
幾つも心に残る文章がありました。
「保育士の「心」(人間性)が保育の質である。」
「この感謝が保育者を育て学校を支えてきた」、
「この前提を普遍のものとして継承しなければ、保育は社会に対して諸刃の剣となる」
「義務教育や福祉が『子育て』の肩代わりを始めると、忍耐力が育たなくなり家庭崩壊がすすむ」
「仕組でそれの代わりをしようとすれば、より一層家庭崩壊が進むことが原因なのだ。」
「そもそも人類は『貧しさ』の中で進化した。遺伝子的に『豊かさ』に弱い。」
「不自由に喜びを感じることが絆、これがなければ生きていけない」
「『合理的な根拠は認められない』ではなく、『事実でございます』とはっきり言っている」
「合理的根拠を超えるものに価値を与えることで人間社会は成立する。」
「幼児と暮らし、彼らを楽しむことで、道筋が示される。」
「弱者を助けているようで、時間の経過とともに弱者の孤立化を進める。」
「しかし、これは、いい理事長先生と、いい母親の話なのだ。」
「本来『壁』が子どもを育て、親を育て、家族の絆を育てる」
「そのオロオロを子供が見て、親子の絆が育ってゆく。」
「愛し続けていること/小野省子さんの詩」
論文の最後に、松居先生は「子供を産み育てることは、宇宙から与えられた尊い役割。」
とおっしゃいました。子供を産み育てることに、人間本来の存在の捉えどころの無さ、
一方で人知を超越した絶対的な心理のひとかけらが反映しているものと感じ入りました。
子育ての本質とは、人間の本質とは、と自問する時間は楽しく感じます。
知識や感性が足りない私にとっても、自分なりの気付きを与えてくださいました。
感謝申し上げます。
ところで、少し前から講師をお願いしています当市主催イベントについては、詳細が決まりましたら、ご連絡致します。
どうぞよろしくお願い致します。
衆議院調査局「RESEARCH BUREAU 論究第16号 2019.12」「子供を優先する、子育て支援」ぜひご一読ください。衆議院、論究、松居和、で検索しても出てきます。アドレスはこちらです。推薦、拡散していただければ幸いです。