中学生に講演します。真剣に。

人間は、自分を「いい人間」にしてくれるものたちを自ら生み出す、作り出す。それが、0歳児であり人形。その人たちから優しさや忍耐力、言葉のいらないコミュニケーション能力、そして「祈ろう」と思う気持ちを引き出してもらい、幸せへの道筋を知る。

そう中学生に説明してあげると、体育館に、ざわざわと「生きる動機」が蘇ってくる。

保育園や幼稚園がなかった、つい最近まで、人間は全員が、012歳児と数年間、関わってきました。親子の関係だけではない。祖父母として、兄弟姉妹として、隣人として。

子育ては、親たちが自分の「いい人間性」を発見し、それに感動すること。その体験が、社会の「絆」の根本にあった。

そう説明してあげると、中学生が、嬉しそうにし始める。自分も、親たちを育ててきたんだ、とすでに役に立っていたんだ、と気づいて、安心する。

子育ては、社会の最小単位である男女が、お互いに、根っこのところではいい人だ、と確認すること。宇宙は、我々人間に、自信をもって0歳児を与える。全ての人間に、この絶対的弱者によって引き出される「いい人間性」がある、と宇宙は信じている。それを、男女が信じなければ、という話を中学生にすると、いい感想文が送られてくる。

「女性の社会進出」という言葉があるだろう。それは、子育てをしている女性を社会の一部と見なさない、「罠」です。輪になって踊ること、一緒に祝うこと、悲しんだり、励ましあったり、慰め合ったりすること。つまり、自分は、絶対に一人では生きられないことを確認すること。そのことの方が、よほど大切な「社会」です、と中学生に講演する。真剣に、真剣に。

「中学生からの感想文」

4、5年に一度、中学生、全校生徒対象に講演を頼まれる。なぜか、そうなる。先々週も行ってきました。

最初が30年くらい前で、彼らは、変わったように思えますが、全然変わっていないようにも思える。

鍵を握る人たち。

講演する一週間くらい前から緊張します。すでに彼らが、私を育てようとしているのが、わかる。

そういうわけで、今回の「松居和チャンネル第23回」は、私の講演を聴いた中学生たちから来た「感想文」を紹介します。

タイトルは、「中学生は真剣です」 副題は、~感想文に、「感性」が現れます~ です。

真剣に話すと、中学生との間に、世代を超える無言のやり取りが生まれる。時間の都合で、大人向けの3割を削りますが、基本は親に話すのと同じ。

情報とか「闘う道具」を教えるより、幸せは、「自分がいい人だ」と感じること。

その為に、小さい子たちが居る。

可愛がっていれば、それだけで、いい人生が送れる、と説明します。

そして、できることなら、全員に、保育体験をさせてあげるといい。

結婚は、自ら進んで「自由を失うこと」。子どもを産むことは、それに輪をかけて「不自由になること」。そこに「幸せ」があって、「絆」という。誰も、自立なんて出来ない、頼り合うのがいい、そこまでしっかり、きちんと話す。

すると、中学生が「親になりたい」と書いてくる。その流れを、母子分離を画策する政府が止めないで欲しい。未来の「生きる動機」を消さないでほしい。

「教育」が、幸せについて、きちんと語る時期が来ている。

「子育て」に幸せがあったから、人類は続いてきた。経済競争に参加させる前に、それを次世代に伝えなければいけない。(チャンネル第23回、親子で一緒に見てほしい。)

アメリカンドリームという言葉もそうですが、欧米の平等論は、ネズミ講のネズミを増やそうとする強者の論理。結果的に弱者を追い詰め「格差」「不平等」を生む。

こども家庭庁は、「子育てしてると人生の幅が狭くなる」などと、馬鹿なことを言うな!

平等なんてあり得ない。不平等で、全員が相対的発達障害で、それぞれに役割分担を見つけるから、人生は充実するし、楽しい。

そんなことを、中学生に伝えます。

すると、体育館を出るまで、拍手が続いたりします。

その音に、励まされます。


 

はごろも「蔘』講演会で使う、絵本と児童文学

7月14日、14:00 はごろも「蔘』講演会「絵本のある子育て」(大井川地域交流センター 大会議室)で、主催者さんに用意してもらう絵本と児童文学のリストです。
これを全部使ったら、講演は十時間くらいになりますから、どうなることやら。

(絵本)
ピーうみへいく、ペニロイヤルのおにたいじ、ネズミのお医者様(こどものとも復刻版、と最近版)、
7羽のからす、くろうまブランキー、こすずめのぼうけん:堀内誠一、ふしぎなえ:安野光雅、12月のおくりもの、うみのがくたい:丸木俊、ねずみ浄土:丸木位里、だいくとおにろく、スーホの白いうま:赤羽さん、ぴかくんめをまわす:長さん、松居直、どうぶつのおやこ:藪内正幸、あまがさ、からす太郎:八島太郎、まるのうた:ラマチャンドラン、こんとあき:林明子、わにわにのお風呂、べプロペラ機:小風さち、

(児童文学)
太陽の戦士:サトクリフ
農場の少年、長い冬:ワイルダー、
飛ぶ教室:ケストナー
こじかバンビ、バンビの子供達:ザルテン (白水社版があれば)
燕号とアマゾン号:ランサム
トムは真夜中の庭で:ピアス
長靴下のピッピ、私たちの島で、やかましむらの子どもたち:リンドグレーン
カラスが池の魔女:スピア
急げ草原の王のもとへ:ヘップナー
ドリトル先生と秘密の湖:ロフティング
海底二万里:ベルヌ
ハイジ:ジュピーリ
ホビットの冒険、指輪物語:トールキン
ライオンと魔女:ルイス
モモ:エンデ
風に乗ってきたメアリー・ポピンズ :トラバース

たつの子太郎:松谷さん
三月ひなのつき:石井さん
ちびっこカムの冒険:神沢さん
長い長いペンギンの話、北極のムーシカミーシカ:いぬいさん
ぼくは王様:寺村輝夫
宮沢賢治 ゆきわたり、セロ弾きのゴーシュ、なめとこ山の熊
新美南吉:手袋を買いに、ごんぎつね

講演会のご案内:9月6日、石川県能美市

「関心のある方であれば、誰でも大丈夫です」
とのことです。
2024年9月6日(金)13:30~16:30
根上学習センター 講堂
住所:石川県能美市大成町111
TEL: 0761-55-8560
対象
関心のある方100名(先着順)
 
主催:日本保育協会石川県支部能美地区会・石川幼児教育保育国際研究会
後援:能美市・北國新聞・日本保育協会石川県支部

「絵本のある子育て」と言うタイトルで講演します。

7月14日、14:00 はごろも「蔘』講演会で、「絵本のある子育て」と言うタイトルで講演します。 大井川地域交流センター 大会議室で、無料です。
【主催はごろも財団【後援】機津市・焼津市教育委員会・社会福祉法人 焼津市社会福祉協議会【企画運営】おはなしのへや【お問い合わせ】090-3421-0640(青野)
私の好きな絵本、児童文学、どんな影響を受けて、それが今の考え方にどう続いているか、「ママがいい!」と関連づけて、柔らかめに話します。ぜひ、いらして下さい。
親交のあった絵描きさんたちとの思い出話もしようかな、と思います。堀内誠一さん、安野光雅先生(私の小学校の工作の先生です、実は)丸木俊先生、位里先生、藪内さん、今江祥智さん、秋野不矩先生、ラマチャンドラン画伯。いっぱい思い出がありすぎて、ちょっと、時間的に無理ですが、やってみます。
(主催してくださった、はごろも財団、企画してくれた「おはなしのへや」ありがとうございます。)

「欧米における養子縁組」人類未体験の制度

今朝、岡山県私立幼稚園PTA連合会の総会で講演して、新幹線に乗ったら、大雨で名古屋に一時間止まりました。

今回から、松居和チャンネルのアップ時間が午後7時になるので、間に合うかな、と思ったら間に合いました。

第22回:タイトルは「欧米における養子縁組」。 サブタイトルは、 ~市場原理で、破綻した福祉は救えない~。

 

少しハードな内容ですが、これが米国の実態で、日本人が知っておくべきことだと思っています。

欧米先進国における里親や養子縁組制度は、「家族の求め方」が不自然に歪んだ「社会」で作られた制度です。四割から五割の子どもが未婚の母から生まれる状況が生んだ、人類未体験の「やり方」です。「簡単に、合法的に家族になり、また、それを解消できる仕組み」が、これから、どう進化していくのか見極めなければいけない。

「社会で子育て」や、「保育は成長産業」という閣議決定の先に、行き場を失った子どもたちがすでにいる。それをこのドキュメンタリーから感じてほしい。

血のつながりを忘れた「制度による」親子関係の模索が、人類の持続性に、楔(くさび)を打ち込んでいる。

日本人は、その前で躊躇する。

躊躇すべきだと思う。

子孫を残すための性的役割分担が、「親」という役割に移行し、「親身な」社会を生んで来た。

「親身な」関係の連鎖が満ちて、モラル・秩序が社会に生まれる。

しかし、こども家庭庁は、「性別役割分担意識からの脱却」を「働き方改革を正面に据え」て実施していく、と宣言する。

それでいて、少子化は困る、と言うのだから、話にならない。国民から月々数百円徴収し、義務教育を破壊させようとしている。

子育ては、お金では買えないのです。

「子育て」は、人類にとっての自然治癒力、自浄作用でした。

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「ママがいい!」、Amazonのジャンル別で、再びギフトランキング一位になっています。ありがとうございます。このランキングが一番嬉しいです。

 

Amazon、人気ギフトランキング、再び、第1位

出版されて2年半、「ママがいい!」Amazon、人気ギフトランキング、再び、第1位です。(ジャンル別ですけど)

嬉しいです。保育士たちに園長先生から、保育士たちから、教育長さんや議員に。

ママ友同士だったり、教員から校長先生に。

母親から、父親に。

祖父母から、息子や娘に。

マスコミがぜったい取り上げない「ママがいい!」が、心を込めて、繋がっていく。本当の優先順位が戻ってくれば、保育園、幼稚園が「ふるさと」になって、崩壊寸前の学校教育が立ち直ってくる。よろしくお願いいたします。

松居和チャンネル、今までのリストです。

松居和チャンネル、火曜日の深夜にアップしていましたが、次回から、火曜日、午後7時(19時)アップになります。よろしくお願いいたします。
松居和チャンネル、今までのリストです。

「松居和チャンネル」始まりました。第一回【ママがいい!】人類未体験の時代への警鐘。
https://www.youtube.com/watch?v=56cLD5Fh-Gg

松居和チャンネル」第2回「日本人の子育ては魔法だった」〜そして、なぜいま【ママがいい!】なのか〜、
https://youtu.be/l3Jo8ex6RfM

「松居和チャンネル」第3回「人類にとって餌付けとは:チンパンジーのカニバリズム」
https://youtu.be/Um8Swqv0haY

松居和チャンネル」第4回【園長先生の悩み】経済優先の国の姿勢で、保育が追い込まれていく
https://youtu.be/jVPBn7zZy5w

「松居和チャンネル」第5回:【幼児が人間性を育てる】これからの幼稚園、保育園の役割
https://youtu.be/TVGS4dYF06Y

「松居和チャンネル」第6回: 幼児を眺め、古(いにしえ)のルールを思い出し、神話を再創造する。
https://youtu.be/BRhOu4Sx-CA

第7回 松居和チャンネル
「利権争いと分断」
0歳児を眺めることの「平等」性について
https://www.youtube.com/watch?v=qq2axI9i24Y&t=246s

第8回 松居和チャンネル
子育ての社会化により、男女(夫婦間)の対立が始まり、分断が進む
「日本は違う道を!」
https://youtu.be/u5J9CNr4eq0

第9回 松居和チャンネル
ちくちく言葉の破壊力  〜それに立ち向かう「詩の力」〜
https://youtu.be/rJ8jEo6JdWA

第10回 松居和チャンネル
欧米コンプレックスが主導する「母子分離」
https://youtu.be/WpMIkAx84X4

第11回 松居和チャンネル
発達障害は絆を育む「凸凹」
~「夢」は、次世代の幸せを願うこと~
https://youtu.be/zOozeDlDoBE

第12回 松居和チャンネル
義務教育の危機
~「専門性」では「人間性」を補えない~
https://youtu.be/6Wf1iuO4kZs

第13回 松居和チャンネル
道祖神園長を大切に
~子どもたちに天命を果たさせる~
https://youtu.be/Fxs9298V5iU

第14回 松居和チャンネル
大酋長ジョセフからの伝言
~吹雪の中で出会った保育士~
https://youtu.be/tsft5u1JXt8

第15回 松居和チャンネル
子育てに正解はない
~いい親でいたい、と思ったら「いい親」~

第16回 松居和チャンネル
子守唄が人類を導く
~義務教育の中に、幼児たちとの会話を~

▼第17回
神話の再生と音楽
~日本が、海外へ「神話」を伝える~
https://youtu.be/be5XSpLUrg4

▼第18回
幼児たちが小学生に教える「道筋」
~祖父母ごころを耕す~
https://youtu.be/KI0Uv4AmZBU

▼第19回
父親たちをどうする?
~子育て支援センターから、部族へ~
https://youtu.be/SZBhNioFrPo

▼第20回
男女平等とは?
~日本は125位、先進国で最下位。順位落とす~
https://youtu.be/FPRbmf0ZBEY

▼第21回
里親制度と神の采配
~ポスター貼ってお仕舞いです~
https://youtu.be/Om9x4WJ_5YU

 

どんぐり山から、感想文

久しぶりに行った、会津のどんぐり山保育園から、感想文が届きました。

前回行った時には、園庭に線量計(放射線の測定用)がチラチラ、風が吹くたびに数字が変わる、もちろん安全な数字ですが、保育園の役割、宿命のようなものを感じたのを覚えています。

(どんぐり山:1歳児)

とても楽しかったです。育児公演と聞くと、自分の育児のだめなところに気付いて反省する時間のようなイメージがありましたが、 考え方を変えたり自分とは違った視点で育児や日常生活を振り返るきっかけになった時間でした。詩集が一番心に残っています。妹 にも松居先生のYouTubeをおすすめしておきました。 

(三歳児)

クスッとなったりウルッとなったり楽しい講演でした。「良い親でありたいと思った瞬間、その親は良い親」という言葉に少し救われた感じがしました。

(五歳児)

今回の講演テーマから、1歳から園にお世話になっている自身にとって気が重い言葉でしたので覚悟して拝聴しました…!しかし 実際に講師のお話しをお聞きし、仕事と家庭を両立させることを目指した結果、子どもと園への負担が大きくなっていたことを振 り返る機会となりました。フルタイムで働いていた時期、「お迎えが遅い」「早お迎えがいい」と連呼され特に子どもは情緒が不安定になっていたことを思い起こしました。 現在向き合う時間を増やしたことで落ち着きに繋がっているのかな、、と感じています。 家庭と子育てをしながら、仕事で輝くことも促される風潮の中、どんな風になっていくことが良いのだろうかと、これという答え が見つけられず…書籍を購入させていただきました。 できれば、夫と一緒に聞きたい講演でした。これから夫婦でも話し合ってみます。 このような貴重な時間をありがとうございました。 

(ここから私です)

会津からずっと、週に四回講演が続いています。あちこちで、義務教育が追い詰められ、どうしていいかわからなくなっている。教員不足が絶望的で、普通級が崩壊し始めている。「ママがいい!」7刷まで来ています。あの中に答えがあると思ってくれる人が増えています。松居和チャンネルを見て、という講演依頼も増えています。

「翻弄される『子どもたちの人生』」

今回の松居和チャンネル第21回は、政府の「子育て政策」とそれに抵抗してきた現場の発言、気持ち、実態との食い違いについて、一例を挙げて話しました。

タイトルは、

「里親制度と神の采配」

副題は、     ~ポスター貼ってお仕舞いです~

(7年前の記事です)

「厚生労働省は7月31日、虐待などのため親元で暮らせない子ども(18歳未満)のうち、未就学児の施設入所を原則停止する方針を明らかにした。施設以外の受け入れ先を増やすため、「里親への委託率」を現在の2割未満から7年以内に75%以上とするなどの目標を掲げた。家庭に近い環境で子どもが養育されるよう促すのが狙い。」毎日新聞

この子たちのために発言してくれる人、親が側にいない。その多くが親戚にも見放された子どもたちが対象で、誰も、その決定に反論してくれない子どもたちの権利、すでに虐待を受けたり、困難だった人生が、政府と、その背後にいる学者の机上の「政策」によって翻弄されていく。施設入所がいいのか、里親を探すのがいいのか、場合によっては、実の親との関係を見限るような判断を、役場が負うことになる。

ポスター貼って、お終いです、と役場の課長が憤る施策が、確かに、全国にその時告知されたのです。真面目に取り組もうとする「課長」も、いるかもしれない。

子どもたちの未来に関わる道筋を役場が決める、こういう状況は。実は、福祉政策の中で様々に行われてきた。乱暴な「規制緩和」だけでなく、公立園の場合、園長、主任だけでなく職員も異動がある。どの保育園に行くかで、その子の人生が変わる時代になってきている。現場を知らない市長の「選挙公約」が踏み込んでくることもある。しかし、この「未就学児の施設入所原則停止」には、人類未体験の、行政主導による「里親制度」という「家族の見つけ方」が絡んでいる。その「委託率」を現在の2割未満から、7年以内に75%以上とする、という、とんでもない数値目標が掲げられていたのです。

この数値目標は、単なる、学者の欧米コンプレックスの結果のはず。それが、簡単に国の施策になることが、一番の問題なのです。この「数値」を決めている連中は、「責任の重さ」がわかっていない。

「エンゼルプラン」や「子育て安心プラン」と名付けられた「雇用労働施策」と同じで、子どもたちの「将来」を優先的に心配する気配がない。(首相が国会で「あと40万人預かれば、女性が輝く」と言った時の待機児童は2万人だったのです。)

記事の最後に「家庭に近い環境で子どもが養育されるよう促すのが狙い」とある。ここで、私の怒りは、沸点に達する。

「それだったら、11時間保育を『標準』とするな!」

記事から七年、どうなりましたか、という私の質問に、児童養護施設で働く友人から、

「現場では、以前と変わらず就学前児童も入所しています。里親に関しては、微増ですが依然として二割程度。七割を越えるなど、国の暴言、官僚の妄言、『絵に描いた餅』です。」

と返事が来ました。

良識ある課長が、「ポスター貼ってお仕舞い」と言った数値目標が、国の方針としてまかり通るところに、「専門家会議」や政治家の「エビデンスに基づく目標設定」の「いい加減さ」、市場原理の恐ろしさが垣間見えるのです。仕組みに翻弄される「子どもたちの人生」が見える。

「幼保一体化」や「十一時間保育:標準」施策は、多くの地域で幼稚園という形を形骸化させ、親の「子育て」意識は、仕組み依存に傾いて行った。その皺寄せが、保育士たちに押し付けられていった。その結果、児童虐待や不登校が過去最多、保育士不足、教師不足にも歯止めがかからない。

当時、幼保一体化を進めた発達心理学者が、「子育ては大変よね。苦しかったら何でもいいから仕事を見つけて保育園に預けなさい。その方が親も子も幸せになるわよ。三歳児神話なんて、うそよ」とテレビで発言し、世論もそのように動いていった。

その学者と並んで、衆議院の、税と社会保障一体化特別委員会で公述人をしたことがある。そこに、もう一人居たのは横浜の女性市長だった。(衆議院のホームページに画像が載っています。)

民主党政権で幼保一体化ワーキングチームの座長を務めていたその学者が『保育の友』という雑誌で、

「これまで親が第一義的責任を担い、それが果たせない時に社会(保育所)が代わりにと考えられてきましたが、その順番を変えたのです」と言った。

そういうことを軽々しく、可能なことのように言う学者が、政府のワーキングチームの座長になっていた。それが三党合意で自民党政権に受け継がれていった。

この国の将来のあり方を決定づける、教育基本法や子どもの権利条約、人間社会の持続性を根こそぎ否定する発言が、保育士たちに向けて、保育雑誌の誌面で放たれた時、一体、保育学者や社会学者たちは何をやっていたんだ。

学問で「子育て」を考える連中は、保育は「資格」があれば出来るものだと思っている。

そうではない。幼児たちは、周りの人間たちの「人間性」を問い、存在する。

(先週、岡山の小さな街で、中学生全員に講演しました。体育座りで、私の話に一生懸命耳を傾けてくれました。

「結婚というのは、自ら進んで不自由になること。子どもを作ることは、結婚に輪をかけて不自由になること。不自由になることに幸せがあって、それを『絆』と言うんです。」

「子どもを可愛がっていれば、自分がいい人だと実感できる。それが人生。みんなが幸せになれる方法が、あるんです」

前日親たちに話した話を、身の引き締まる思いで、もう一度繰り返しました。彼らは、真剣に聴いてくれて、体育館を出るまで、拍手を続けてくれました。

ありがとう。

頑張るからね。)