欧米の後を追ってはいけない。

遠洋漁業の漁師さんは、年に10か月海に出る。でも、無線と手紙で、立派に家庭をつくる人はいる。母親の「言葉」によって、お父さんは、ちゃんとそこにいる。
 実際に、「育児」をしなきゃ、という話ではないのです。父親が、子どもたちに「責任」がある、と感じていればいい。
 欧米のように、半数近くの父親が、子どもが生まれた時から家庭にいないような国々で、何が起こったのか。
 80年代に渡米した時、すでにアメリカでは3割の子どもが未婚の母から生まれていた。家庭崩壊が一気に進む「出発点」はすでに、そこにあった。男たちの「責任回避」は始まっていた。
 当時、刑務所に入っていた女性が、2万6千人。それが、今、23万人、10倍になり、半数以上が母親だという。
 これは、実は、修復不可能な、恐ろしい数字なのです。
 アメリカの大統領選挙を見ていると、父親像を失った子どもたちが、それを求めてギャング化し、優しさや、忍耐力を失っていく風景が浮き彫りになっている。
 「父親像」が消えていくと同時に、社会全体に「父親像」を求めようとする力が、みなぎる。
 人類未体験のこのパワーが、「常識や理性」では計れない、コントロール不能の状況を生み始めている。
(九月十七日の松居和チャンネルから、2回にわたってそのことについて話します。)