風景が生み出す「心のゆとり」

「ママがいい!」からの抜粋です。この部分が一番好きですとメールをくださった方が居て、嬉しかったのです。

風景が生み出す「心のゆとり」が集団としての人間を支えていたのだ。言葉でも理屈でもない。幼児の居る風景が整ってゆくと、幼児のいる風景が人間社会を整えていく。

その風景が人間たちの安心を支えるのだ。窓から雨をながめ、一緒にしゃがんで花をながめ、カタツムリをながめ、倒されてしまった積み木をながめ、ある日静けさの中で、無言で心を重ねてくれる人が身近にいるかどうか……。その有無で幼児期の体験はその価値が決まってくる。いい保育士は、それを生まれながらに理解している。その静かな心の重なり合いが少ないと、数年後に始まる学校生活での人間関係の質が粗くなってくる。

(「ママがいい!」からの抜粋です。)