魂の震え方を、幼児たちが男たちに教える

「ママがいい!」https://good-books.co.jp/books/2590/  より。

父親の一日保育士体験:若い男性園長に言われ、渋々参加したその父親がお昼寝の時間に、息子の背中をトントン叩いて寝かしつけていた。

すると、息子の小さな声が、「おとうさん、ありがとう」。

突然、父親の目に涙が溢れる。

……こういう瞬間に人間が育っていく。父親が一人生まれる、というべきか。父親は、帰り際、園長に向かって、「やって良かった、やって良かった」と繰り返したそうだ。

父親は、自分自身を体験したのだ。自分のいい人間性に気づいた。自分の中には、いい人間がいる。幼児だった頃の自分もいる。(男たちが、園児たちに混じってそういうことに気づくと強い。魂の震え方、信頼を呼び覚ます共鳴の仕方を、幼児たちが男たちに教える。)

男性園長は、その話をしながら、とても嬉しそうだった。

(こうして幼児が父親を育てる時、自立とは対照的な真の「強さ」が、いともたやすく社会に満ちていく。「教育」とは別の次元のところにある「子育て」が、涙とともに目を覚ます。)