「園長も喜びますよ~」:日保協の石川県支部、青年部主催の研修会で、今週、講演します。

日保協の石川県支部、青年部主催の研修会で、今週、講演します。(10/6(金)15:00~16:30  金沢市文化ホール二階 大集会室 )

県内外の保育関係者であれば、参加できるようです。申し込みフォーム:https://forms.gle/txkW8xYQwnraeYgG7)

金沢は、去年逝ったお袋の故郷。祖父が、小さな本屋さん「福音館書店」を始めた街。そのお袋が、京都の同志社大学で親父と出会わなければ、「ぐりとぐら」も「ぐるんぱ」も、この世に生まれなかったかもしれない。私もこういう話を始めなかったし、「ママがいい!」と言う本も書かなかった。人生は物語ですね。

日保協の青年部が主催してくれることが、嬉しくもあり、心強い。チラシに「ママがいい!」を載せてくれています。子どもを優先する、という保育指針の精神を、もう一度、取り戻そうとしているのだと思います。

懇親会を楽しみにしています、という連絡も入りました。二代目、三代目の園長、後継者たちに、彼らの御母堂たち(私の師匠たち)から教わった、保育の筋道を伝えるチャンスです。

可愛がり、寄りそう、「保育は、祖母の心持ちでやるものです」という神話の伝承をしなければ。

私は、時空を超えた、伝令役なのです。

保育を成長産業と位置付けた国の施策は、行き詰まっています。人間性を無視するから、こういうことになる。

子どもの願いに興味のない、「家庭」の成り立ちを理解していない「こども家庭庁」は迷走状態で、「ママがいい!」という叫びに耳を貸さないばかりか、子ども未来戦略(令和5年6月13日閣議決定)で、「キャリアや趣味など人生の幅を狭めることなく、夢を追いかけられる」ように、とまで言っている。

親が「夢を追いかける」には、乳幼児が障害物だと言う。それは、そうかもしれない。でも、「こども家庭庁」がそれを言ったらお終いでしょう、と腹が立ってきます。同時に、ネグレクトの奨励とも思える(慣らし保育なしの)「子どものショートステイ」を、「圧倒的に整備が遅れている」と言うのですから、稚拙で、強引な「洗脳」の危険性が見えてくる。

「今後、インド、インドネシア、ブラジルといった国の経済発展が続き、これらの国に追い抜かれ続ければ、我が国は国際社会における存在感を失うおそれがある」と書く。

冒頭に、そんな杞憂を掲げ、預ける先の「質」が二の次、三の次になっているのですから、この「戦略」は思慮の浅い経済施策、「子ども真ん中」を掲げるこども家庭庁が出す施策としては、明らかに本末転倒なのです。

「国際社会における存在感」など、どうでもいい。慣らし保育における、幼児たちの「ママがいい!」という叫びを真剣に聴く姿勢こそが、この国の国際社会における存在感でなければいけない。

国の「戦略」通りに進めれば、少子化がさらに進むでしょう。いじめや不登校がもっと増えるに違いない。その程度の想像は、みな付くようになっている。「子ども真ん中」などいう言葉では、騙せなくなっている。

私は、幼稚園、保育園を「親心のビオトープ」に、とお願いします。そうやって、子どもたちの「願い」を優先すれば、道筋はついていく、と園長たちを説得します。

金沢行きの新幹線の中で、窓際の席に座って、講演を聴きに来た人のいく人かが、園で一日保育士体験を始めてくれたら、と考えるのでしょう。それに、一日一冊、読み聞かせの習慣を定着させることができたら、それだけで、この国は立ち直る。

親たちから文句が出たら、「ここは私の園です。私が楽しく園長をできなければ、子どもたちは良い感じに育ちません。ですから、私のやり方に従ってもらいます」と言えばいい。

福祉はサービスだ、当然の権利だと思っていた親は、目を白黒させるかもしれませんが、小さい子どもを育てている親たちは、たいてい理解しますね。最終的に、園長の人気も高まります。親たちは、親身な人を、本能的に探しているからです。

子育てをしている親たちの「財産」は、周りに親身な人がいるかいないか、なのです。

親を一人ひとり、順番に、「楽しそうな」子どもたちに漬け込む。世界を信じようとしている人たちに、委ねる。子どもたちが親を育てる力を信じる時が来ています。

全員を目指してください、とお願いします。

目指す目標が「全員」だと、それが、一つの意味を持つ。子育ては、希望者だけやればいい、というものではないのです。そこに選択肢はない、という常識が、利他の心を育ててきた。

親は子どもを選べない、子どもは親を選べない。選択肢がないことが、人類を支えてきた。

それがわかるための「一日保育者体験」です。

夫婦が、それぞれ別々の日に、がいい。

「子どもが喜びますよ~」と、笑顔で、言い続ける。それだけのことです、とお願いします。子どもたちが、我々の味方ですから、だいじょうぶ、と次の世代の園長たちに言うのです。そして、小さな声で、「園長も喜びますよ~」と付け加えれば、もっといい。

(ブログは:http://kazu-matsui.jp/diary2/、ツイッターは:@kazu_matsui。よろしくお願いいたします。「ママがいい!」、ぜひ、口コミで広めてください。「親心のビオトープ」の作り方が書いてあります。最近また、Amazonジャンル1位に復活しました。)