映画「いのちのはじまり」(子育てが未来をつくる)

映画「いのちのはじまり」(子育てが未来をつくる):

 
11時間保育を「標準」と名付け、保育の質の低下を考えずに安易に子ども園や小規模保育を奨励し、3歳未満児を親から離そうとする国の施策を作った「子ども・子育て会議」のメンバー、経済論でそれを主導した政治家たちに、ぜひ、この映画を見てほしいと思うのです。
当たり前、といえば、これほど当たり前のことはない。3歳までの育ち方が子どもの人生を左右する。それは即ち親の人生を左右するということ。
 
世界全体で、いま乳幼児期の愛着関係の欠如が問題になっているのです。子育てを、どういう視点で捉えるか、が改めて問われています。人類が、これではいけない、と自問し、乳児を眺め、彼らの存在意義を考え始めている。
 

映画「いのちのはじまり」(子育てが未来をつくる)http://www.uplink.co.jp/hajimari/

 
「人格の土台が形成される乳幼児期(生後~就学前)の脳では、毎秒700個から1000個もの神経細胞が新たに活性化しています。この神経細胞同士の接続によって脳は発達し、後の健康や精神的な幸福、学習能力が決定づけられます。
 
この成長でもっとも大切なのは、大人との触れあい。血のつながった“親”に限らずとも、周囲の大人が乳幼児に安全で愛情に満ちた環境を与えることができれば、より良い社会を創造する未来が開かれます。
 
本作は、世界9カ国で家族や育児現場を取材し、さまざまな文化・民族・社会的背景における子育ての今を伝えます。さらに、早期幼児教育の専門家たちへのインタビューを織り交ぜながら、親をはじめ子育てに関わる周囲の大人たちが、安心して育児に取り組めるような公共政策の必要性を訴えます。
 
世界的ファッションモデルのジゼル・ブンチェンや、ノーベル経済学賞受賞歴もあるシカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授、ユニセフ本部で「ECD=Early Childhood Development(乳幼児期の子供の発達)世界キャンペーン」を統括するピア・ブリット氏、先進的な幼児教育で注目を集めるイタリアのレッジョ・エミリア市の保育者らも出演。彼ら自身の経験と研究に基づいたメッセージが胸に迫ります。
 
「この映画を製作していた2年間で、赤ちゃんにはそれぞれの世界があり、彼らを世話することはその特別な世界を慈しむことなのだ考えるようになりました。人は誰かを大切にすると変わります。それは単なる自己犠牲ではなく相互的な関係です。”あなたがいるから私がいる”と専門家の1人は言いました。人とのつながり、特に乳幼児期における人間関係によって、世界はこれまで以上に素晴らしいものになり得るのです」
 
─エステラ・ヘネル監督
 
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なぜ、いま日本政府は40万人の乳児を親から引き離すことを政策目標にするのか。なぜ、マスコミはもっと乳幼児の立場に立って報道しないのか。この国の未来を見据え、考えながら報道しないのか。
 
保育士不足がこれほど決定的ないま、これ以上預かろうとすれば市場原理に向かうしかない。サービス産業になっていけば、保育は、ますます親へのサービスになってゆく。それによって親の「子育て」に対する意識が変わってくる。そして、いい保育たちが去ってゆく。
子どもに話しかけない保育、抱っこしない保育が、市場原理の中で、ぎりぎりの金儲けを維持するために広がっている。