子どもたちの会話

 子どもの発達を保育の醍醐味ととらえ、保育士たちの自主研修も月に一回必ずやり、子どもの幸せを考え親を育てる行事をたくさん組んで、良い保育をやっている保育園で…、

 園長先生が職員室で二人の女の子が話しているのを聴きました。

 「Kせんせい、やさしいんだよねー」

 「そうだよねー。やさしいんだよねー」

 園長先生は思わず嬉しくなって、「そう。よかったわー」

 「でも、ゆうがたになるとこわいんだよねー」

 「うん、なんでだろうねー」

 園長先生は苦笑い。一生懸命保育をやれば夕方には誰だってくたびれてきます。ちゃんとそれは子どもに見られているのです。他人の子どもを毎日毎日八時間、こんな人数で見るのはやはり大変なのです。しかも、園長先生は保育士たちに、喜びをもって子どもの成長を一人一人観察し、その日の心理状態を把握して保育をしてください、と言っています。問題のある場合は、家庭の状況を知って配慮したり、良い保育をしようとすれば完璧・完成はありえないのです。子育てに完璧・完成がないのと同じです。

 保育士に望みすぎているのかもしれない、と園長先生は思いました。それでも、いま園に来ている子どもたちのために、選択肢のなかった子どもたちのために、できるところまでやり続けるしかないのです。

DSC00124.JPGのサムネール画像