子育ては、待つこと、それが最初にあって、と、私の好きな絵本『こんとあき』にも書いてあります。
待ち方が大切だと、先日講演に行った授産師さんたちも口を揃えていました。その時間から、社会を整える「常識」が生まれて、遺伝子が正しい順番でオンになり始めるのだと思います。
初めての笑顔を待つ。そして「はじめの一歩」を待つ。初めて「とりあえず」と言ったのに、驚く。そして、親たちが、自分がいい人間になっていくのを、静かに、願う。
遺伝子が正しい順番でオンになって行く、最初の所に、「ママがいい!」という言葉が登場スノです。その願いに応えていくことで、社会という『道筋』がついていく。
人類未体験の集団的、意図的な母子分離を政策でやると、社会から優しさと忍耐力が消えていきます。学校には補うことが出来ない。
慣らし保育なしで、7日間まで幼児を知らない人に預けられる「子どものショートステイ」を「圧倒的に整備が遅れている」と、こども家庭庁は「戦略」で言う。過去三十年間の政府の子育て支援はネグレクトの勧めだった。会社が休みでも平気で預ける親を増やし、保育士たちの心が離れ、保育の質が下がっていった。
親たちの保育体験で、乳幼児期の母子分離を補うのは無理ですし、愛着障害の影響を和らげることは出来ても、未婚率や少子化を止める事はできません。でも、保育や教育がギリギリ維持できるところまで、育てる側の絆を復活させられるかも知れません。親らしい幸福感を、少しずつ取り戻すことができるはず。
政府は、多様性を言いながら、「ママがいい!」という言葉を無視することで、人間社会の『共通性』を壊している。子育てに必要な、この「共通性」が社会を鎮めてきた。