「父親からの手紙」

子どもたちの幸せを願う園長は、私の講演のあと、親たちに一週間くらい時間を与えて感想文を書いてもらうのです。耕した畑に雨が降って土が穏やかになっていくように、文字にすると自分の心が定まってくる。

そして、そのコピーを私に送ってくれます。親から直接メールをもらうこともあります。そうした言葉が私を癒し、元気づけ、生き甲斐になってくれたりする。

ここに、父親からもらった一通のメールがあります。

手紙を読んで、ふと何かが完結したような気がしました。赤ん坊がいる風景の中で、一人の父親から私がこの手紙をもらうことで、何かが完結する。私も含めて命がつながっていく、絆の循環が始まっているように感じたのです。

人間は、自らがこの世に生み出した新しい命を世話しながら、一回自分を捨てるのかもしれない。我欲の世界から、利他の心持ちに移っていく。

救われていくのかもしれない。

「父親からの手紙」

松居様

 

昨日、講演を聞いた者です。

何か、表現し難いものに興奮し、また感動し、寝付けずにいます。

 

結論から言えば。

子供を持ち、親になったことで得られたことがあると強く感じます。

今年35歳になりますが、まだ独身でいる友達が両手に余ります。

正に非論理的盛りの2歳児を育てながら、今、ここに、幸せが手の中にあるような、、、

目に見えない形のないものを実感しています。

 

独身の頃には、時間もお金も好きなように使えて(自由にとは言いませんが)、それが結婚したら。

この時代の夫は、家事を手伝い、小遣いは十分の一、輪を掛けて休みの日には子供の面倒を見なくては、しなくてはならない。

子供が生まれて1年半で、10キロ吸い取られるように痩せました。

この話をすると、現在50代のお父さんたちは、「時代が違う」と後悔か懺悔かをにじませ言います。

それでも、この不自由の中にも確かに幸せを感じられました。

先生のような悟りや確信を得られた訳ではありませんが。

 

一番強く思ったのは、「俺もこうだったのかな」と。

長年父親に対して様々な思いを感じたことが浄化したような。

俺の親父も、こうやっておむつを替えて、チンチンに付いたうんこを拭いてくれてたのかなと。

刺し違えてでも母と妹を守る、とさえ思ったことのある親父のことを、自分勝手に理解し合えたような、不思議な満ちた感覚を得ました。

 

何か大きなものをもらった時に、自分も何か言い返したいというか、訴えたいというか、言いたいことを言っている人は、エネルギーに満ちているし、若く見える。先生もそんな感じでした。

そんなまとまらないお礼を言いたいと思ってメールしました。

 

p.s. 仕事が多少忙しいですが、9月に一日保育します。

 

(そしてもう一通、「保育士からの手紙」)

松居先生、ご無沙汰しております。お元気でいらっしゃいますか?

6月18日より、1日保育士体験を始めました。まだ、3人の方の実施ですが、その方々のご意見は、まさに先生がおっしゃっていたとおりでした。

どのかたにも、5歳児の子どもに読み聞かせをしてもらっていますが、それも大好評です。保育士も体験の保護者が来られると、嬉しいですし、子ども達は大喜びです。先日、理事が様子を見に来られました。(先生とお食事をご一緒したときに先生の向かいに座られた華奢な方です)市をあげて実施する方向へもって行きたいと後押ししてくださっています。

そこで、先生にご相談なのですが、公立保育所の職員対象で研修をお願い出来ないでしょうか?そして、誠に情けないのですが、交通費が出ませんので、先生が西日本方面へ来られるような時に、寄っていただけるようなスケジュールの時はありませんでしょうか? いつもいつも、無理を言ってすみません。また、お返事を待っています。よろしくお願いいたします。

(私は、いつでも行きます。ありがとうございます。)