講演依頼・頑張る無認可保育園・素晴らしいブラック保育園・

講演依頼・頑張る無認可保育園・素晴らしいブラック保育園

こんなメールをいただきました。
講演会のお願い

こんにちは。共励保育園の保育展で初めてお近くで話をさせていただきました。今回は私の保育園での講演会のお願いです。当園は0歳から2歳の乳児保育園です。くくりは無認可、かずさんや長田先生が危険だとおっしゃっている乳児保育園。ですが、庭のない高層マンションで育つ子供たちが早くから親と離れ、庭のない保育園で育つ現状がある中、その子供たちにとって何を感じ何を経験させていくことが出来るだろうか、私たち保育士はどうやってその子育てを手伝えるだろうか、子供だけでなく、その子育てに疑問を感じない親たちに、何が大事なのかをしっかりと伝え、親に育てることが最重要な課題だと思って乳児保育園を始めたわけです。

乳児保育がいけないと言ってやめる人はいい、しかしその声が届かないで、よい保育を受けられれば良い子に育つと期待したり、仕方がないで解決してしまう人たちに、その状況の中でどうやって子供を育てることが必要なのかを先生にお話ししていただきたいのです。

親だけではなく、保育士も親に似た傾向になっております。育った環境が同じですから経験や感じる感性も乏しくなっています。表面と裏側をうまく使い分けて空気感を読み取り、深めようという意欲もなく、そつなくこなす、悲しいけれど、いくら人が変わっても、大した保育士はきませんし、育ちません。保育士に親育てはもう無理です。

昨年、「自分で食べられる口を作る」ということから環境全てに課題があるということを話し、もっと環境について考えようと提案しましたが、その深い意味を感じることが出来ないだけでなく知ろうともせず、余計なことはしたくないとばかりに5名もの保育士が去っていきました。本来ならまだまだ勉強の必要な保育士たちですから育てなくてはならないのですが、ただ口に入れて食べさせ、おむつを替えて散歩に連れて行けば1日が終わる、その世話で十分と思っている人たちにとって、大事なことがわからないのです。それがわからず、乳児の保育をすることは本当に危険なことだと私も思います。引き留める気になれませんでした。

この保育士がいない状況の中で、まして給料は認可と比べられないほど低い。どこに求人を出しても目にとめてもらえない中で人は来るだろうか、それも志深い人が。誰でもいいから人を埋めてただ預かるだけの施設にするなら、私が保育園をやっている意味は何だ?苦労して人を育てるなんてことをしなくてももっと楽に生きていこうか・・なんて投げやりにもなりたくなりました。でも、それが出来ない自分がいました。

私の娘がK保育園に努めていました。その保育園の理念はしっかりとしたもので子供の育ちを最重点に考えているところで、たった4年ですが娘はかなりしっかりした理念を持っていました。本当に育てていただいたということに感謝です。その娘が、私の思いをずっと見続けてくれていましたので、当園に来てくれました。

ただ、そこの働き方はブラックでした。その保育園が大好きな人たちが泣く泣く自分の人生を守るために辞めていくのです。そうでなければ結婚も出産もあきらめるしかない。残ってしっかりと保育を守っているのは結婚もせず保育園にすべてをささげた数名です。日々11時まで仕事なんてざらで、ひどい時は2時に園近くに迎えに行ったこともたびたびありました。

それでも職員はそこの仕事が大好きでした。本当にもったいない園です。そして今年度、その保育園から2名うちに来てくれました。一人は私が保育園を作る前からずっと子育てブログを見続けてくれた人で私の友人です。

現状を正直に話しました。今までいた職員で育休復帰してくる職員にも正直に話すと勉強したいと言ってくれました。みんな新園を立ち上げるつもりで基礎を作っていこうと言ってくれました。そんなことで、今年度新しいメンバーで、最強の状態で始めることが出来ました。このご時世に良く集まってくれたと思うと、誰かになにかしなさいと背中を押されたような気がして改めて頑張らないとと思った次第です。

親にとっては、気さくに話してくれる保育士をよい保育士と思っている人も多く、なぜ辞めたんだろうと感じている人もいるはずなので、保護者会総会では正直にいきさつを話しました。理解してくれた人もいるでしょうけれど、そうでない方もいるかもしれません。でも、その流れはこれから私たちがやろうとしている保育にすべて現れてきますからいつか分かってくれるものと信じています。

うちに来てくれている保護者には入園前にうんと子育ての大切さを話し、乳児に集団はいらない、育休では、上の子も一緒に過ごしてほしいと育休退園をお願いし、それでも当園の保育方針に賛同し、入れたいと思った人だけ単願でとお願いしています。認可が落ちたら来るよという腰掛の人ではなく、大事にしたいものを感じ取れる人が入ってくれていると思っています。ここ3年間は単願の条件を決めさせていただき、単願で埋まっています。100名以上見学に来て単願希望者は30名くらいでしょうか、その中の18名が今年の入園者です。

便利に使う保育園を希望される方は多いです。こんな保育園ですが子育ての大切さ、子供と共に過ごすことの大切さをお話していただけたらと願っています。土曜日でお願いしたいです。

お引き受けできるかどうか、また講演料など失礼なこととは存じますが教えていただければと思います。長い文面になり申し訳ありません。先生にお話しするときはいつも長くなってしまいます。聞いてもらいたいことがいっぱいありすぎます。

よろしくお願いします。

 

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(本当に、いろいろな現場が混然と存在しています。その中で、保育に対する「思い」の格差を親たちはどれだけ知っているのだろうか、と思います。)