ツイッターからです。(養護施設光りの子どもの家の菅原哲男先生の本)

 永遠の課題、保育、1対3か3対9かを考えていた時、養護施設光りの子どもの家の菅原哲男先生の本に、「職員が旅行に行ったら担当している子どもにしかお土産を買わない、そうでなければならない」と書いてあった。「みんなと一緒を子どもたちは極端に嫌う」。平等の対極に親子がある。そうだろうな。

 菅原哲男理事長の「誰がこの子を受けとめるのか」を読む。「『仕事で子どもを愛せるか』これは光りの子どもの家の当初からの課題である。」「養育に最も欠けてはならないエッセンスは労働とは次元の違う無償の行為なのである。」児童養護施設で過ごす人間たちの時間が社会に向かってそう語っている。

 「何よりも愛されることへの飢餓感、ある者は不感を疑わせるほどに愛を知らないできてしまった時間の長さに、関わりの手がかりさえ見当たらない」と菅原哲男さんは書きます。私が先月中学校で感じた子どもたちの幼さも、この延長線上にあるのでしょう。道徳教育なんて浅い次元の問題ではない

 菅原さんがこれを書いたのが十八年前。これほどの証言が児童養護施設という、最後の砦からされているのに、厚生労働大臣が去年「子育ては専門家に任せておけばいいのよ」と言ったのです。そして、中学の先生が「私たちは保育をしている」と私に言い、園長が「保育園は仮養護施設状態に追い込まれている」と言うのです。

 このままでは学校がもたない。保育園ももたない。共倒れになってゆく図式はすでに見えているのに、「待機児童をなくせ」というかけ声だけが響く。0、1、2歳児は保育園の前で「ここに入りたい」と言って待機はしていない。そのことだけは確認しあわないと、誰も自分自身が見えてこない。

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 菅原さんの本、ぜひ読んでみて下さい。実は私は33ページまでしか行っていないのですが、数行読んで立ち止まってしまう、立ちすくんでしまうような感じです。私も同じようなことを長年言ってきたのですが、菅原さんの言葉は臨場感が違う。人類の叫びが聴こえる。

 再び、保育士一人対0才児三人が良いのか、3対9かという永遠の保育課題に戻って考える。保育が最後の砦なら1対3。家庭という形に希望を失わないのなら、やはり3対9か。1対1は、人類を見捨てないのなら、母親の権利として守る。守ることによって真の絆が生まれる。そんな感じでしょうか。

 仕事だとわかっていても乳児院で愛着関係は必ず生まれる。そうでなければいけない、しかし辛い事になる。辛い別れの繰り返しが子どもの心を支配する。保育園でも毎年担当は変わる。子どもたちは健気だが、よほど親子関係がしっかりしていないと、不信と不安が重なってゆく。そして、体験した淋しさは数年経って現れる。

 1対3か3対9か。国基準には何も書かれていない。保育士と園児の割合しかない。何を感じ、思い、願っているか、知る事のできない0才児は割合でしかない。それが現在の施策と制度。未来は見えないし愛着関係に正解はない。でも、正解を探そうとすれば心は育つ。制度に乳児を任せることはなくなる。

 自治体によっては1人でも認定された障害児がいれば1人加配してくれるところもありますが、まだまだ追いつかない状況です。年齢が上がるにつれて幼児はお互いに引き金を引き合ってしまいます。常に軽軽度の候補者を抱え、保育士も足りず、全国で限界に近づいています。

 保育士の絶対数が足りないことと、派遣会社や大手の株式会社の青田買いが市場競争に慣れていない保育界を突然崖っぷちに追い込んでいます。派遣保育士が当たり前になってくると、保育の概念そのものが崩壊し、ただの託児所になって行きます。

 自治体によって保育格差が大き過ぎます。だから国基準があり、それは最低基準だったのですが、それさえ待機児童解消のために崩され、東京都の認証保育所、横浜市の横浜保育室、子どもの成長や保育士の気持ちは二の次です。都は13時間開所させて、早寝早起き朝ご飯、と言うのですから、もう支離滅裂です。

 政府の市場原理導入で派遣会社が保育界に加わった。全国の保育園に「雇いませんか?」というファックスが毎週送られてくる。子ども第一に考えない未熟な園長をなんとか抑え、指導していた主任やベテランの首が簡単に切られてゆく。まだ未成熟な意識の中に市場原理を入れると自浄作用が働かなくなる。

 派遣会社に登録し保育人生するほうが確かに気楽かもしれない。しかし、それでは幼稚園保育園は親子の故郷になれなくなる。社会は一層根無し草化する。園単位で絆を取り戻すしかない、と園長たちにお願いしてきましたが、派遣会社の参入を許した施策はかなりきつい。保育がただの仕事になってしまう。

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