「保育士の待遇改善を」 首相官邸前でデモ・格差の本質・小一プロブレム

「保育士の待遇改善を」 首相官邸前でデモ(TBS) https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20170316-00000092-jnn-soci …

『保育士全員の賃金を月額6000円増やすほか、経験年数に応じた上乗せが行われますが、「格差の解消には程遠い」と批判の声が』

賃金「格差の解消には程遠い」確かにそうなのです。しかし、もう一歩進んで「子育てに対する意識の格差」の広がりが、実は問題の本質なのだと気づいてほしい。

保護者の間に広がる「子育てに対する意識の」格差、保育士と保護者の間に広がる「保育に対する意識の」格差。何より決定的なのは、国と保育者の間に広がる「保育に対する意識の」格差です。片や「雇用労働施策」として保育をとらえ、片や「子育て」と見ていないとやっていけない。国は閣議決定で「保育は成長産業」と位置づけました。一方、保育士が尊重すべき保育所保育指針、過去に保育士たちが守ってきた精神の中心には、保育は「子どもの最善の利益を優先して」と書いてあった。

こうした格差の広がりを、「義務教育」という仕組みは受け切れない。

いまこの国の土台を崩そうとしている「子育て」における意識の変化、仕組みの混乱は、その中心に「幼児たちの思い」が見えていないところに原因があります。発言しない人たちの気持ちを優先的に考えて、心を一つにする、そこが欠けているのです。

保育士ストライキを保護者が応援する、という記事がありました。そうでなくてはいけません。一番いい形です。幼児はそこにいるだけで、育てる側の心を一つにする、それが人間が社会を形成する基本、大自然の法則です。いま、この混乱の中で、一緒に子育てをしている、という意識が親と保育士の間に戻り、それが広がることが最終的な目標になってほしい。園児たちはそう願っている。

そして、思うのですが、ストライキをやってもらえるのはまだいいのです。その陰に、静かに辞めていく「心ある」保育士がいることの方が怖い。

その人たちの幼児を思う良心が、「保育士を辞めるという形になって」、いままで心ある保育をしてきた園長たちを直撃する。いい保育士を雇えないという現実が、いい園長たちを精神的に追い込んでいく。倒れそうになっている園長先生たちがあちこちにいる。

ネットでビジネスコンサルの「いま保育で儲けよう」という宣伝を見ていると、保育を知らない人の参入が、「保育は成長産業」という閣議決定で進められている実態が見える。だからそういう保育には、保育の本質を知っている保育者は近づかない。「児童発達支援と放課後等デイサービス」http://kazu-matsui.jp/diary2/?p=269 という文章をブログに書いたことがあります。「保育=子育て」における境界線が、「待機児童をなくせ」という掛け声のもと、度重なる規制緩和によって見えなくなり、すべてが市場原理に取り込まれつつある。

全国で、3歳未満児の入所希望が増え、特に役場の采配で配置が決まっていく公立保育園で、いままで3、4、5歳児につけていた加配保育士を0、1、2歳に(安易に)(必要に迫られて)回している。その無理が小一プロブレムに直結し、その第一波が4月に学校に上がる。(第二波は4年後に来ます。)

税金を使って3歳未満児保育の「受け皿」を作り、子育ては「社会」がやってくれるものという意識を広げ、その数倍の税金を使って今度は小学校の教師加配をせざるを得なくなってきている。(臨時採用の教師の時給は、非正規の保育士の3倍です。)

「社会で子育て」などという、保育園や幼稚園、学校に子育てを押し付ける、出来もしない机上の論理を振り回しているうちに、あっという間に、人材だけではなく、財源が底をつき始めているのです。福祉や教育という仕組みに子育てを依存しすぎた結果が、すでに修復不可能な状況に保育界、教育界を追い込んでいる。

「子育て」は技術や学問、仕組みでできることではない。育てる側がどう育っていくか、育てる側がどう心を一つにするか、という大自然の仕組みだということをもう一度理解しないといけません。

(以前、こんな天才保育士のことをブログに書きました。http://kazu-matsui.jp/diary2/?p=257)

塩・味噌・醤油

ある園長先生が話してくれました。

養成校の教授に信頼されているその園長は、保育士を育てるのに定評があります。ある年、保育士に欠員が出たため四人の卒業生を推薦してほしいと教授にお願いしました。

四人を選んでくれた教授が園長に笑いながら言いました。「二人は、将来現場でリーダーとなってゆく優秀な学生たちです。もう二人は、学業には向かないけれど天才的な保育士です……」

園長は一応形式的に筆記試験をしました。栄養の三要素は何ですかという問いに、天才保育士の1人が「塩、味噌、醤油」と書いたのだそうです。

園長はそこで大笑いをし涙ぐみながら私に言うのです。「この塩、味噌、醤油が、本当に、本当に保育の天才でした」

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