中学生の感想文、その2

 中学校から送られて来た感想文、繰り返し読んでいます。体育館であの人たちに囲まれた日、今年の一番の体験だったかもしれません。
 その日、以前より幼さを感じました。それは、まだ誰かを育てようとしている、幼児の本能によるものでしょう。誰に育てられているのかはっきりしない子どもたちが増え続けています。昔から、様々な理由で、そういう子が一割くらい居ても普通なのかもしれませんが、10年前、5年前、そして今年と、中学生たちの雰囲気が明らかに違ってきています。
 感想文には深刻な相談事がいくつか混じっていました。
 そして、いま生きている、私の記憶のずいぶん深いところにしまってある、あの懐かしい真剣な時間がよみがえってくる言葉から現在の私自身が見えてくるようでした。
 理性と感性が同居していて、しかし、まだ感性が理性に負けていない、直感の確かさを感じます。眩しい人たちです。
 そして、私は、実はこんなことまで言っていたんだ、と感想文を読んで教えられます。
 私の言葉はたぶん園長先生やシスターや本や自然や先生や、人生で出会った誰かから学んだこと。私は、伝令役、通訳、翻訳者なんだな、と思いました。
ーー「親になる幸せ」松居和さんの話をきいて〜感想〜ーー

 「私は、幼い子は苦手なので、今まで幼い子と関わらないようにしてきました。けれど、今日の話を聞いて、積極的に幼い子と関わろうと思いました。」

 「幸せは人によって違うけれども、幸せを見失った時、幼い子どもの幸せを眺めているだけで、幸せを得られる。その幸せこそが最高級の幸せであり、その幸せを感じられることもまた幸せである。
 今、まさに幸せの形を追い求め始めていたので、とても参考になりました。今日のお話しで、今の自分に少し自信が持てました。少し、がんばってみようと思いました。」
 
 「僕は、今回の話を聞いて、幸せとはどういう物かっていう、自分のものの見方が変わりました。幸せは、人生の中で、どれだけ成功できるかとか、作り出していくものではなくて、その今生きている人生に幸せを生み出す=ものの見方を変えていくことでつかみとるものなんだなと思いました。その、ものの見方は幼稚園、保育園児に学ぶものであったり、他にもいろいろな人から学ぶこと、いろいろな物から学ぶことであると思うので、しっかりと自分とかを見つめ直して、初心を忘れないようにできたらな、と思いました。」
 「自分の考えを変えれば、なにかが変わるんじゃないかな、と改めてわかりました。」
 「僕ははじめは、話をきいて、とても難しいはなしでよく分かりませんでした。でも、せっかく講演会を開いていただき、意味も分からないままでは、もったいないと思って、一生懸命話をきいていたら、だんだん松居さんのはなしの意味がわかるようになっていきました。マサイ族が一人で立っている草原をイメージして集中していると、30秒でピタッと泣きやんだ、なんてはなしは、普通にきいていたらきっと信じませんが、松居さんが話しているのをきくと、すごく気持ちがこもっている話で『本当なんだろうな』』と思うことができました。
 今日の講演会では、松居さんの気持ちのすごくこもったいい話をききました。家に帰ったら親におしえてあげたいです。自分が大人になって子どもを持つようになったら、この話を思いだして、子どもといっしょに”立派な人間”になっていきたいです。今日の講演会はとても自分のためになったと本当に思います。
 小さな子どもと遊ぶときなどに、今日の話を思いだして、やさしく対応してあげたいです。」
 「今日、松居先生の話を聞いて心にのこったことは、園長先生がうさぎになってくださいと言ったとたん、お父さんたちがうさぎになったことです。園長先生は、お父さんたちをうさぎに変えることができてすごいし、お父さんたちは子どものために、はずかしがらずにうさぎになるのもすごいと思いました。ぼくは、この話を聞いて、弟がほしくなりました。」
 「私は、『親になる幸せ』を聞いて、不思議な気持ちになり、同時に、早く大人になって子どもを産んでみたくなりました。私が今生きている。それだけで周りの人たちが笑ってくれる。それだけで幸せだと思いました。」
 「ぼくの妹はダウン症候群で、上手く話せません。いろいろ困ることがありますが、ぼくは妹がいてとてもよかったと思いました。」
 「ぼくは、親に幸せをあたえていると聞いて、安心しました。僕もはやく親になって、子どもから幸せを受けてみたいです。」
尺八羅漢.jpg

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